
内科・消化器科
つかさ内科クリニック
胃癌、慢性胃炎、十二指腸潰瘍、胃潰瘍とピロリ菌
後述しますが、pH1〜2(強酸性)という過酷な環境である胃にも微生物が存在する事は100年前から議論されていましたが、1983年に培養同定され、表題の疾患の原因になる事が疫学的に証明されるまで、世界に冠たる内視鏡学を作り上げてきた日本の内視鏡医の眼中には全く入りませんでした。
ところが皮肉な事に、ここ数年で、それまで築いてきた診断学に基づく表題のような疾患は、ピロリ菌というキーワードひとつで多くが片付いてしまうほどの趨勢となってきました。(それ以外の未知の微生物の存在も議論されているところです。)
ピロリ菌の感染経路はまだはっきりした事はわかっていません。例えばピロリ菌の培養液をを大量に飲み込めば当然、感染します。
それまで年齢のせいとされてきた慢性胃炎は、実はピロリ菌が起こす慢性炎症の結果であることが確実視され、診断学も様変わりしつつあります。
慢性胃炎の患者さんは胃癌に罹りやすいのですが、学術的にも、ピロリ菌がいる人の胃癌のリスクはそうでない人よりはるかに高い事もわかっています。
残念な事に現状では、ピロリ菌の検査や除菌治療が保険適用されるのは上記のうち胃潰瘍・十二指腸潰瘍のみとされています。
従って胃・十二指腸潰瘍(又はその瘢痕)が認められない場合、ピロリ菌治療は自由診療となります。この場合、保険診療分を全て自費でいただく形になり再除菌の必要がある場合でも検査・治療費の総計は数万円程度に収まります。、根治的な体調の改善、活力ある毎日といったメリットを勘案してみれば、高い金額ではないと思われます。
ピロリ菌の診断方法は幾通りもあります。直接胃の組織を少量採取し、検鏡、培養、ないし迅速診断(ウレアーゼテスト)する方法、尿素呼気試験といって吐く息を分析する方法、便中抗原などの方法が次々に出てきました。
数年前、ピロリ菌除菌が自費で行われ始めた頃は組織採取による顕微鏡検査または簡便なウレアーゼテストが唯一の方法でした。
ただ、ピロリ菌は胃の中でまだら状に棲息する為、たとえば十二指腸潰瘍のみで胃にあまり異常がないという場合、たまたまピロリ菌がいない場所から採取してしまう可能性があります。
その為、同じピロリ検査でも感度の良い培養検査、或いは胃の中に棲むピロリ菌全体を反映する尿素呼気試験もしくは便中抗原の測定を中心に行っています(除菌前は尿・血液検査でも可)。
ピロリ菌が感染した場合、治療薬はありますが、初回治療の成功率は(薬を飲み忘れずきちんと飲んだとして)8〜9割で、1〜2割の患者さんは不成功に終わります。
2007年夏に保険制度の一部改正により、現在は再除菌に異なる薬剤を使用する事が出来、再除菌でも概ね9割以上の成功率が期待できます。
残念ながら除菌に失敗した場合でも、維持療法を行えばつらい症状からは概ね解放されます。
なお、除菌の成功、失敗に拘らず発癌のリスクはありますので、定期検査は欠かせません。
実は、ピロリ菌除菌により症状消失し、定期検査を受けなくなり、最終的に胃癌により命を落とす確率が高まる可能性も示唆されています。
※来院いただければ、受診の前にピロリ菌陽性、陰性それぞれの胃の状態を比較して御納得いただく事も可能です。
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