内科・消化器科
        つかさ内科クリニック


・経鼻内視鏡等について

・経鼻内視鏡等について

 結論としては、胃カメラを「楽な順」に並べると(術者は充分に上手と仮定)、

 1. 30分程うとうとしている間に検査を終わらせる内視鏡(当院で主に行っている方法)
 2. 経鼻内視鏡
 3. 従来通り、咽頭麻酔のみの内視鏡

以上が、学会等での議論や自験例を総合した結論です。1. ではなく 2. や 3. が選択されるのは、より多くの患者さんを検査する為の「省力化」の為という事が出来るでしょう。

 2003年頃の事です。出雲の外科の先生が超細径の胃カメラを使って、挿入ルートとして鼻を使って挿入する経鼻内視鏡の手技を大々的に発表されました。 私自身、胃カメラは細い程良いと信じていました。ところが、経口的に超細径内視鏡を使用する機会があったのですが、現行の通常内視鏡が必要充分な太さとい う事を痛感しました。

 超細径の胃カメラは鉗子口と呼ばれる穴が細く、胃液の吸引などによる胃内の掃除に時間がかかります。
 
 また経鼻挿入すると想定すると、超細径といっても耳鼻 科用スコープ(直径2〜3mm)より格段に太い((直径6ミリ弱〜7ミリ強)事と、吸引口が狭い為に胃液等のじゃまなものを吸引したり、薬の散布を行う事が困難で、結果的に精度が落ちると思われます。また画像の精度も現状では経口内視鏡より劣ると言われています。スペック上は同等のものも出てきていますが、実際に使う段階では胃粘膜やレンズの洗浄が難しく、結果的に精度が劣ると考えられます。
 鼻の形状 は個人差が大きいものです。その、鼻腔の形状によっては鼻出血などの事故も起こり得ますし、もし鼻腔内の形状により挿入不可だったり、止血鉗子などの処置具が必要な場合は通常内視鏡にチェンジしなければなリませんから、患者さんには余計な負担 がかかります。鼻腔の麻酔に多大の手間を要し、検査後は鼻の頭を赤くして帰る事にもなります。
 麻酔薬であるリドカインは大量に使うと危険な不整脈を起こしますし、ショックという危険な状態にもなり得ます。内視鏡に使う麻酔薬でも安全面からは全量が吸収されるものと考えるべきで、検査一回当たりに使うリドカインは概ね100mg以内と合意されています。
 検査による事故は増えこそすれ減る事はなく、検査の精度は経口内視鏡にどこまで近づくかが問題になるのみで、超える事は決してありません。これらのリスク評価がされないまま、なし崩し的に普及してきた現状があります。

 検査の苦痛に関しては、「しらふ」での経口内視鏡で一割が「二度と受けたくない」という統計は勤務医時の経験から納得の行くものです。しかし当院開院後、適切な鎮静下(眠り薬)での経口内視鏡の感想は、9割以上は「全く何ともない。もう終わったの?」であり、不満?といえば薬効の個人差や睡眠不足で検査後も昼寝に入り、目が覚めて時計をみてびっくりする事がある位です。
 なお、当院では全身管理の可能な設備、技術がありますので、検査に使う眠り薬は非常に安全に使用しています。
 どんなに熟練した医師にもつきまとうのはリドカイン(虫歯の治療のときに使う麻酔薬)による事故の可能性です。
 鎮静を適切に行えば、リドカインを全く使わずに、苦痛のない検査を行う事も可能です。通常は、アレルギーのある方、特に希望のある方以外は少量のリドカインを使います。

 技術的に特別難しい訳ではないのですが、
以上のような理由で、経鼻内視鏡というのはありがたいものではないと考えています(当院院長は数千例の内視鏡の経験で無事故です)。

 ファッションのようなまるでブームの様相ですが、一般に導入するのは少し慎重になった方がよいと思っています。それでもどうしても患者さんがブームに乗らなきゃ「いやだ」、とおっしゃるなら、やらなきゃ仕方ないという状況が来るかも知れませんが、患者さんに対して責任を持つ医師としては、使いたくありません。

 ちなみに経鼻用の内視鏡を用いる場合でも、経鼻的挿入は避け、経口的に用いるのが上述の理由から無難である事は医療機器の販売担当者ですら口にする事です。

 実は超細径の内視鏡というのは小児用として昔からあったのですが、以上のようなデメリットから普及しなかったのです。挿入経路を「鼻」に替える事でにわかに脚光を浴びましたが、本質的な問題は抱えたままなのです。

 経鼻胃カメラの場合は高性能の機械で熟練した術者が施行しても、経口に比べて大きな早期がんしか見つけられないという報告もあります。。内視鏡は一種の職人芸ですから、確実性を求めるなら当院のように腕の確かな開業医のほうが安心です。大病院では、通常は外来の主治医とは別の医師が検査を担当する体制になっています。

 院長自身も、3回程内視鏡で苦しみました。公立病院等で胃カメラを受けた事があります。消化器科の部長が検査を担当した事もありましたが、失礼 ながら非常に下手で、のどの麻酔が切れた頃に無言で現れて内視鏡を突っ込み、げーげー吐いて苦しんだ上にろくに検査は出来ず、説明を求めると「何ともな い」の一言で追い返されました(少なくとも慢性胃炎はあったはずです)。実に患者の立場で苦しみました。お腹の痛みは続くし、ピロリ菌が専門医の間でもあまり認知されて無い頃なので、開 業医の先生に何とか血中抗体の測定をお願いし、陽性疑いだったために、何とか除菌用の薬を手に入れて服用し、それ以来胃薬は必要なくなりました。

 そのような経験から、「死んでも胃カメラだけは嫌だ」とおっしゃる患者さんの気持ちもよくわかりますし、このような方を一人たりとも出してはいけないと考えます。当院の開院にあたっても、そういった経験が生きています。

 現在、一月に1人に近い割合で実質的に患者さんを救命出来ています。微力ながら震災犠牲者の方々へのせめてもの供養になればと思っております。

 さて、逆に日本人の発案で古くから行われてきた消化管二重造影(バリウムを飲む検査)は、内視鏡にはないメリットがあって現在でも十分現役の検査です が、X線の被爆がかなり多い事もあり、現在の役割は術前などの精密検査の一つになってきていると思われます(現状では当院では行っていません)。

 一方、最近開発されてきた「カプセル内視鏡」は検査がしづらく、また、悪性腫瘍がまれである為にあまり気にされなかった小腸のちょっとした病気を見つけるにはかなり役に立ちますが、吸引で粘液や残渣を除去したり、送気してひだの裏に隠れた 病変を見つける事が困難な為に、胃や大腸の精密検査としての意味はありません。今後も同様でしょう。CTによるバーチャルコロノスコピーも微細な粘膜模様 の描出力は期待できないので、内視鏡に比べると診断能力は雲泥の差があり、病変が見つかった時にその場で組織検査や手術を行う事も出来ず、医療資源の無駄遣いと思われます。また、被爆量も相当大きいのものと思われます。適応は、大腸カメラやX線透視の出来ない寝たきりの患者さんに限られると思われます。

 数十年前に、私にとっても大先輩であるDr. Tadaらにより、接触内視鏡による内視鏡下での顕微観察が試みられました。現在、がんの予防・治療の分野での進歩があるとすれば、拡大観察が更に発展し、数十年前に行われた顕微観察に立ち返る事ではないかと思います。実用化すれば、病理組織を取らなくても内視鏡下で病理診断が可能になる可能性があります。その場合でも、肉眼的にがんの局在をを疑わなければ、顕微観察も出番が無く、がんを見逃してしまう事になります。。
 すなわち顕微観察が実用化したとしても、新発明ではなく実用化・普及に過ぎません。
 いずれにしても、大事なのはまず内視鏡検査を受ける事です。

 無責任なマスコミの記事が多いので、一つご注意願いたいのですが、、血液検査で胃がんや大腸がんがわかるといったような記事があったとしても、マスコミが記事を売る為のネタ探しに過ぎず、実態はデタラメに近いか、身近な臨床医学とはほど遠いという事です。消化器の早期がんの診断方法は、今後おそらく百年以上の間、或いは永久に、画像診断に優るものは出来ないと考えられる根拠があります。

 
胃腸の調子が悪いと感じたら、まずは従来型の内視鏡を受けるのが現在一番確実な方法です。
 当院は高い診断能力・技術を保ち、殆ど苦痛なく、安全に検査を行っています。
 少しでも御心配のある方は是非、当院で早めに検査を受け、安心して下さい。

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