内科・消化器科
   つかさ内科クリニック


消化管癌における早期発見の重要性

まず結論として、胃癌、大腸癌などの主な癌については、昔ながらの「早期
発見、早期治療」に尽きるという事を申し上げます。未だに「採血では分か
らないのか」と尋ねられるケースが後を絶ちませんが、前立腺癌など特殊
な例を除き、採血で異常値がでた時点では既に進行癌で、ケースバイ
ケースですが手術して完治すれば運がいいという状態です。
消化管の癌は殆どの例では肉眼による観察で早期に見つければ内視鏡
手術で手術後の合併症や転移を心配する事も進行癌よりはるかに少なく
治癒します。

抗癌剤に関しては、今後あまり大きな進展は期待できません。
生命を操る司令塔がDNAである事が発見されて半世紀が過ぎ、
容易に応用できる部分は分子生物学という学問として速いペースで
応用され、日常臨床で当たり前に使われています。

癌が遺伝子の異常により起きる病気であることもすでに動かしがたい事実
となっており、この遺伝子異常を治せば癌は治るであろうという事は誰しも
考えるであろう事です。

マスコミは連日のように遺伝子関連の華やかな話題を(ネタ持たせの為
か)報道しますが、癌の治療は遺伝子が関連している意味で似たところ
はありますが、狭義の遺伝子治療で癌を完治させるという事は困難の
度合いの桁が全く異なります。

すなわちすべての癌細胞の狙った部分の遺伝子を正しい配列に修復する
という事は、現在の技術では到底不可能であり、いつの日かそういった技術
が完成するかどうかも非常に疑問と思われます。逆に
そういった技術が完成すれば、生まれた後で能力や外見を好きなように
変えることも比較的簡単に出来てしまうでしょう。遺伝子治療で癌を治す
のはそれほど困難という事です。

ヒトの細胞には癌化などの細胞内の異常を感知して自ら分裂を阻止し、
細胞死を起こす機構をオンにする、精巧な機構をもつタンパク質があり
ます。このような機構をつかさどる遺伝子を癌抑制遺伝子と呼びます。
一方、細胞分裂に関連したある種の遺伝子が変異すると、コントロールが
効かなくなり、際限なく分裂していきます。このような遺伝子を癌遺伝子と
呼びます。

癌は幾つかの癌遺伝子・癌抑制遺伝子の変異がたまたま重なって起きる
病気です。前述のように遺伝子そのものを修理するには我々の技術は
未だ幼稚に過ぎます。

これらの精巧な癌抑制遺伝子の働きを通常の医薬品並みの小さな
化合物に肩代わりさせて、細胞内で働かせようと考える者もいますが、
未だ細胞が様々の臓器を形作る「分化」、そして細胞の異常を感知する、
それ自体生命の謎をはらんだ癌抑制遺伝子の仕組みさえ、いつ解明
されるか分からない状況ですから、、既存の化合物にそれらの働きを
肩代わりさせるという発想には無理があり、せいぜい従来型の抗癌剤
の新薬の様なもののの開発に終わるものと考えられます。

 私自身、ある癌抑制遺伝子に関連して遺伝子の配列や機能を調べる
分子生物学的な研究を行い、ささやかながら国際的な業績を残しました。
その業績は既に「ネイチャー・メディシン」「ネイチャー・ジェネティクス」等
多数の超一流紙に資料として引用されています。
 上述の記載は、私自身が生命科学の最先端で活躍した経験から申し上げる事です。

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